味の箱船

Fu-nu-Iyu
食材の特徴
宜名真ではシイラのことを「フー(富)ヌ(の)イユ(魚)」と呼び、「富をもたらす魚」として昔から大切な存在として親しまれてきました。
沖縄のほかの地域ではマンビカーとも呼びます。魚自体は脂質が少なく味は淡白で、宜名真近海に回遊する秋のフーヌイユは、脂がのって旨味が増します。
加工方法について
夜明け前から出港して、鮮度保持が難しいフーヌイユを釣ったら、できるだけ早い時間内に漁港へ戻って水揚げします。その後、すぐに魚をさばいて、塩をすり込みます。天候の条件が揃えば2日間ほど天日干しし、乾燥したら完成。
歴史的、食文化的位置づけ
旧暦9月1日に、安全祈願・豊漁祈願のために「イシノウガン」がおこなわれます。その際、シイラの口にイカを食わせた状態で御供物として捧げられ、御願したあとに、パヤオを設置して、フーヌイユ漁がはじまります。
食糧がいまのように十分ではなかった頃、群れをなして落ち着きなく回遊する習性のフーヌイユに出会えたら、「フーがある!」と喜んで、その恵みに感謝していたといいます。