琉球孤は、九州から台湾までの間にあり、大小さまざまな特徴を持つ島々で成る、亜熱帯性海洋気候の島しょ地域です。
東は太平洋、西は東シナ海に面し、夏は南東の風・冬は北東の風が強く、年平均気温は23℃前後で、冬でも10℃以下に下がることは滅多にありません。夏秋には台風の接近が多く、台風の影響を受けやすいです。
農地は痩せていて、干ばつや台風による農作物の被害が発生し、恵まれた農業環境とは言えませんが、農業は食糧の安定確保という面で、琉球・沖縄における産業の基幹でした。
高温多湿な自然環境の中でもたくましく働き、飢饉に備え上手に食糧をやりくりしました。家畜として牛、馬、豚、ヤギ、鶏が飼育されましたが、なかでも豚は民家の敷地内でも飼われていて、1頭はお正月用として、1頭はお金に換えて生活費とするため、手塩にかけて育てられました。
珊瑚礁の内側(イノー)では、透明度の高い海水が海の色をエメラルドに染めていますが、透明度が高いということは、海水中の栄養分が少ないことを意味しています。魚の種類は多いですが、大量に獲れないことがあり、かつてはサバニと呼ばれる木造船を使い、自給を目指しました。
14世紀から19世紀ごろにかけて、琉球王国として独立した国家を築き、中国や東南アジアとの交易を行うことで繁栄しました。このため、独自の言語や風習が育まれ、歌や踊り、伝統酒の泡盛、紅型染め、壺屋焼、琉球漆器など、特色のある郷土の産物が今日まで受け継がれています。
私たちのシマは、色とりどりの熱帯魚が舞う珊瑚礁、抜けるように青い空、亜熱帯特有の植物が緑を彩る美しい島々です。この地に住む人々は、長い歴史の中でさまざまな苦しみと闘いながらも、明るくたくましく生き抜いてきました。